ホリエモンの賭け

いやあ、どうなんでしょう。一気に賭けに出たようにも見えます。700億円もかかるニッポン放送株取得を、転換社債で賄おうという腹らしいですが、04年9月決済は、おそらくライブドア単体ということでしょうが、売上高で300億、純利が35億というから、そう簡単なお買い物ではなかったはずです。フジテレビのTOBのタイミングにつけ込んだことは明らかで、資本の流動性を最大限に利用するという、何ともフットワークの軽い経営戦略ですが、事業を運営するための人材を育成することなく、むしろ買い付けるという方法で(野球騒動のとき連れてきたGMの、いかにも間に合わせ的な感じを想い出してしまいます)、事業間の「シナジー」だけを武器にどこまでやっていけるのかは疑問が残ります。まあ、資本主義だから内容は空疎だとしても拡大すればするだけ収益は見込めるのでしょうが、何となくここでも自ら進んでジャンケンを「早だし」しているようにも思える。早さと流動性は、よしあしはともかく資本主義における最大の武器といえるでしょう。ですが、ホリエモンの場合は、例えば期待しているネット普及や既存メディアの衰退の度合いも、彼が思うよりは現実はまだ進行していないように思えるし、彼の企図がまさに日本的資本主義と対極をなすような速度を示せば示すほど、空回しているような気もしないでもない。その早さが、旧体制をすべて根こそぎにしてネット界にホリエモン帝国を構築するまでに至るのか、あるいはネバネバとした政治力の前に空転に終わるのか、しばらく動向をうかがっていきたいと思います。