第二十二回哲学/倫理学セミナー

少し前からやっている研究会、今度から少し多くの人に来てもらおうと宣伝することになりましたので、ここにも載せておきます。

#########以下、転載自由###############


第二十二回 哲学/倫理学セミナーのご案内

 思考のラディカリテートを、単に表面的なアクチュアリテートの
 みを追い求めることなく、その歴史の〈深さ〉に探り当てていこう、
 そのような趣旨で立ち上がりました「哲学/倫理学セミナー」も、
 下記の通り、第二十二回目を開催する運びとなりました。引き続き、
 東京大学倫理学科の熊野純彦先生をお迎えして、皆様と議論を深め
 ていきたいと思っております。ご参加をお待ちしております。


            記 

 第二十二回例会 平成17年3月19日(土)
           於 ルノアール新宿区役所横店 会議室五番
   (http://www.ginza-renoir.co.jp/store/myspace/mys006.htm
                  14時から16時50分まで
   発表「市場の暴力の裏側
           ――「経済学批判」の実践にむけて」
                      荒谷 大輔

    「ヘーゲルは逆立ちをしている」。『ドイツ・イデオロギー
   の序論にみられる、マルクスのこのあまりにも有名な定式は、
   しかし、これまでどれだけ真摯に向き合われてきただろうか。
   観念論から脱却し、現実的な実践から出発しなければならない。
   こうした呼びかけに応えるために、マルクス主義者たちは、現
   実の経済現象を分析し、そこを貫く歴史的な法則を見出そうと
   してきた。だが、そうした試みは、おそらくは、過剰なまでに
   「イデオロギー」を排そうとする態度において、「歴史」に働
   く現実的な「思想」の力を過小評価し、「科学」に仮託した言
   葉によって、マルクス自身の定式を裏切ってきたように思える。
   今日、マルクスの経済分析に立脚して展開される経済学におい
   て、現実に足をつけずに逆立ちしているのは、まさにマルクス
   の方になっているのである。
    本発表において目指されるのは、現代において一層猛威を振
   るっているグローバルな経済状況において、経済現象の背後に、
   現実に機能している歴史的かつ思想的な構造を批判的に検討す
   ることである。それはおそらく、高踏的な概念の操作によって
   ロックやカントの認識論を「思想的」に止揚しただけで、現実
   の社会における市場経済の侵入を看過していた当時のドイツ観
   念論に対して、マルクスが突き付けた批判につながるものであ
   るはずである。人間の「自然状態」を設定し、自由な個人の私
   的所有を基礎として語り出される経済学は、よく知られてい
   るように、経験論的な世界観を根底に据えるものである。自由
   な個人の私的所有による経済活動という前提は、しかし、本発
   表において、アダム・スミスによる最初の経済学の体系化にお
   いてすでに、ある二重性を含み持つものであったことが明らか
   になるであろう。グローバルな経済を支える「信用」のシステ
   ム(ヒルファーディング・金融論)と市場原理の内部において
   必然的に立ち現れる市場の外部性(コース・企業論)を考察す
   ることによって、市場原理の「裏側」にある構造を、明らかに
   していきたい。
    
    主要参考文献
   アダム・スミス国富論』(岩波文庫
   水田洋『アダム・スミス研究』(未来社
   ルドルフ・ヒルファーディング『金融資本論』(岩波文庫
   ロナルド・コース『企業・市場・法』(東洋経済社)
   中山智香子「『市場』をめぐる権力」『差異のエチカ』
                       (ナカニシヤ出版)
   ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』(河出書房新社

                         以上

なお、お手数ではございますが、会場の手配の都合がありますので、
第二十二回研究会に出席いただける場合には、ご一報いただければ幸
いです。

 また、会場(ルノアール)の性質上、今回の研究会はおひとりあた
り600円程度の飲み物代がかかります。あらかじめご了承ください。

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 第二十三回例会 平成17年4月16日(土)
              於 文京区区民センター 3-D会議室
        (http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/map.html
                  14時から16時50分まで
   発表「カント『実践理性批判』における範型・象徴の理論」
                        宮村 悠介

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哲学/倫理学セミナー
           (http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/