鏡の前で感じるめまい

それほど世間一般のことを話したわけでもないはずなのに、こうも同じ内容を何遍も繰り返されるとめまいがしてきます。いや、試験の採点の話。今年は割とできがよく、授業で話したことを多くのひとが理解してくれている風なのは喜ばしいことなのですが、単なる社会的な知識ではなく、多少なりとも内面的なものに関わりをもつ事柄について、こうも大量に反復がなされると正直うんざりします。

正確にいえば、各答案は画一的ではなく、それぞれがそれぞれの視点で、またそれぞれの理解度に応じて、一年の間に説明してきたことを理解&誤解していて、たぶんに差異を含んだ反復ではあるのですが、まさにそうした同一性のゆらぎのようなものが、まためまいを引き起こすようにも思われます。そもそも、学生が内容をきちんと自分のものにしているのか、単にオウムがえしをしているだけなのか、コミュニケーションにおける猜疑のようなものもあり、一年間を映す鏡が非常に歪んだものとして、様々な「自己」をかえします。うーん、気持ち悪い。こうしたことは、単に僕がこの職業に慣れていないからなのか、それとも大人数教育という構造の問題なのか、はたまた、僕のやっている授業の内容に問題があるのか。この時期、自分の生業について反省せずにはいられません。。。