神の国、アメリカ

キリスト教徒なら、汗して得たお金を、メリークリスマスを掲げている店だけで使おう」

なんとマックス・ウェーバーが我が意を得たりと喜びそうな台詞だろう(笑)。先頃から朝日の朝刊で連載されている「アメリカ・神の国から」に、キリスト教右派団体が昨年末にノースカロライナ州の新聞に掲げた広告についての記事が書かれていた。やはり、アメリカでの右傾化も、英米リベラリズムにおける、あの馬鹿らしい「ポリティカルコレクト」に対する反発の面が強いことが読みとれる。何でも、アメリカでは、「メリークリスマス」という言葉を使うことが多文化的なものを許容しないので「政治的に正しくない」ことになっているらしく、この時期には「メリークリスマス」ではなく、「ハッピーホリデー」ということが推奨されているとのこと。これに対する反発として「建前ではない文化を」という運動が起きているらしいのだが、朝日がこうした記事を自分に対する反省もなしに連載しているところが面白いっすね。ノリとしては、もしかしたら「石原知事語録」みたいな感じなのだろうか。しかし、こうしたものを読むにつけ、諸悪の根元は、もはやものを考えなくなり形式化した左翼にあるように思ってしまいます。右傾化を促しているのは、むしろ左翼の側ではないか、と。しかも、それが世界同時的に起こっているというのが何とも言い難いものがありますね。「自己批判をしろ!」なる言葉は、かつて極左団体が仲間にリンチを加えるときに投げかける文句だったわけだけれども、それに対する嫌悪かしらず、戦後の左翼(とりわけ、すぐに「ナチス」的なものへと悪を還元してしまうひと)の自己欺瞞は目を覆うばかりです。