言語の運用能力
学生の基礎的な能力をつける、という名目のゼミで、大野晋の『日本語練習帳』を使ってみたのですが、案外好評。言葉が悪い悪いといわれる若い人たちでも、ボキャが少ないながら、言語感覚というのは割ときちんと機能しているものかなと思わされた今週でしたが、来週あたり一気に(?)町田康で攻めようかと。
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: 単行本
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なんというか、言文一致といっても、ベタベタと足を引きずりながら歩くようなかっちょわるいワカモノ言葉に迎合するのではなく、リズミカルな河内弁でベッタリと始末の悪い内面性を掬い取っていく町田の筆は相変わらず、しかし、今回、題材まで歴史的な事柄を扱うことで、これまでの町田の良さがうまいことストレートに出ているのではないかと思った。このひと、やっぱ折角古い文献とかあさってたのだから、こういった題材の方が向いているのじゃないだろうか。まあ、あんまりにもオーソドックスな手法だから、型破りな迫力がなくなったという人ももしかしたらいるのかもしれないけれど、しかし、個人的には、『きれぎれ』なんかのような、途中から手前勝手な内省で形而上学化していく方向は、行き止まりだと思う。つうか、別にゴタクはどうでもいいけど、今回のこの作品は絶対いいよね。そう思わない?(って誰に言っているのやら)
たぶんうちの学生で知っているひとはほとんどいないだろうから、来週どんな反応するのか、ちょっとだけ楽しみ。