安野モヨコ『働きマン』

電車広告でちょっと気になっていた、安野モヨコの『働きマン』の単行本が出ていたので、
青山ブックで立ち読み。なるほどねぇ、と感心した。

働きマン(1) (モーニング KC)

働きマン(1) (モーニング KC)

昨今の若い人では、男の子よりも女の子の方が元気があるというのは、大学の生徒なんかを眺めてても痛切に感じることであるけれども、この本は、女性の記者を「働きマン」と形容し、彼女が「男性」的に振る舞う様子を描く。これで面白いのは、昨今のスローブームみたいなのに乗りそうな輩を「要領がよく、いいとこだけをもってく中年男性」として、がつがつ働くのって会社の奴隷みたいでやですよね、といったスカした態度をとる若者を、女性ホルモンを磨り減らしてバリバリ働く主人公の「最も嫌いな人種」として対置させたりしているところ。安野は、庵野のモラトリアム性に対して、実は物凄い苛立っているのではないか、とさえ思ってしまうような筆致ですが、それが、「今こそ女性の力が求められる」とかいうような凡庸なフェミニズムに陥らず、ある程度の距離をとって描かれているところには好感が持てました。